終わりの始まり - これは作り話3 -

当時私が所属していたゲーム会社では、店舗の売り上げを本社のサーバと接続したPC上のアプリケーションで管理する、いわゆる店舗管理システムの導入を進めていた。IT野郎の諸兄向けに言えば、クラサバ系のシステムだ。私が勤めていた店舗もある時このシステムの導入対象となり、本社情報システム部のメンバが店舗を訪問して、設置作業を行った。

 子供のころからゲーム野郎で、初めて手にしたビデオゲーム機がファミコンではなくSG-1000IIだった私は、もともと体感ゲームの筐体を作りたくてそのゲーム会社に入社したのだった。所属はゲームセンター部門だったが。

私は自分のPCを店舗に持ち込み、独自に売り上げ管理や店舗装飾などを行っていた。それが、店舗管理システム導入のために店舗にやってきた情報システム部メンバの目に留まり、当時の情報システム部長に推薦してくれるという話になった。部長に提出するための論文も作成した。流石にこんな形で本社勤務になることはないだろうと思っていたが、なんと本社情報システム部への異動が実現した。入社から2年後のことだった。

2歳年下の妻は大学を卒業した後実家に戻った。就職はしなかった。結婚したいと思っていたから、花嫁修業のようなものだった。